更新日:2008/2/7 |
安いクスリがあるというコマーシャルを見たことがありますか 黒柳徹子さん、高橋英樹さん、加山雄三さんがテレビや新聞で「ジェネリック医薬品という安い医薬品が使えます」というコマーシャルをしています。ジェネリック医薬品というのは、欧米風の呼び方で、国内では「後発医薬品」といいます。 「後発医薬品」とは、先に開発され、販売されてきた「先発医薬品(新薬)」に対し、あとで製造された後発の医薬品という意味です。原則として先発医薬品の再審査期間※や特許が切れたあとに発売されます。欧米では、医師が処方せんにブランド名(商品名)ではなく、ジェネリック名(成分名)を書いて後発医薬品の調剤を指示することからジェネリック医薬品と呼ばれています。 先発医薬品(新薬)は、成分の発見から動物実験を経て、何年もかけて人での臨床試験を終えて発売されます。ひとつのクスリの開発に9〜17年、開発費は200億〜300億円がかかるといわれます。 一方、後発医薬品は先発医薬品と同じであることを科学的に証明する試験をするだけで発売できます。人での試験を行わないため、ひとつの後発医薬品を発売するまでにかかる金額は3000万〜5000万円程度で済みます。そのため後発医薬品は非常に安く販売できるのです。 安いクスリを使うことによって、患者さんの経済的な負担が軽くなります。また、医療保険を補助している国庫の負担も軽くなります。多くの国で後発医薬品は医療費を安くするために活用されています。 後発医薬品の長所と短所 後発医薬品は、先発医薬品と同じ成分のクスリですから、同じ作用を持っています。しかし、クスリの形はまったく同じでなくてもよいため、安価なだけでなく製剤がより使いやすく工夫されているものもあります。 患者さんが後発医薬品を使ってみたいと思ったときは、より良い後発医薬品を選ぶためにも薬局の薬剤師とよくご相談ください。 では、安くて品質のよい後発医薬品があるのに、なぜ今まであまり使われてこなかったのでしょう。いくつかわけがあります。 昔のことですが、後発医薬品の品質が今ほど厳しく問われなかったころ、品質の劣る製品が市場に出回ったことがあります。また、売上げが悪いとすぐに製造中止になり入手できなくなるなど問題点がありました。 しかし今でも問題点は残っています。 後発医薬品は、副作用情報などの医薬品情報が先発医薬品ほど充実していません。これは医師や薬剤師としては患者さんの安全性を考えるうえで不安の残るところです。 最近では全国の薬剤師会試験センター、また東京都薬剤師会衛生試験所においても毎年品目を決めて溶出試験を行い、お互いの情報交換と、各薬局への情報提供を行っており、その成果が見えるようになってきました。薬剤師会はこのような努力をしているのです。 また、後発医薬品の宿命なのですが、「古いクスリ」だということです。新薬の開発は目覚しいものがあります。効果を高めたり、安全性を高くした新しいクスリが次々に開発されています。しかし、そういった新しいクスリには後発医薬品はまだ発売されていません。 後発医薬品を使用する仕組み 平成18年4月から医師が書く処方せんのスタイルが変わりました。処方欄の下の方に備考欄がありますが、そこに「後発医薬品への変更可」の欄が新たに設けられました。 その欄に医師の名前が署名してあるか、医師の名前と押印があれば、患者さんが薬局と話し合って後発医薬品へ変更できます。 患者さんの希望にあわせて先発医薬品、後発医薬品のどちらでも使用できる仕組みです。 後発医薬品を上手に使うために必要な知識 後発医薬品が使用不可能な場合 ・ 処方せんの「後発医薬品への変更可」の欄が空白の処方せんでは薬局では後発医薬品は使用できないので、医師とご相談ください。 ・ 医師が変更不可と指示したものは後発医薬品を使用できません。 ・ 医師の治療方針によっては後発医薬品を使用しない場合があります。医師の治療方針を尊重しましょう。 ・ すべてのクスリに後発医薬品があるわけではありません。自分の使用しているクスリに後発医薬品があるか薬剤師に確認してみましょう。 後発医薬品が使用可能な場合 ・ 処方せんの「後発品への変更可」の欄に医師の署名、押印のあるものが変更可能となります。 ・ 後発医薬品に変更する場合、良い後発品を選ぶために薬剤師はお手伝いします。そして価格の違いだけでなく、どこが同じでどこが違うのか薬剤師に説明してもらいましょう。 ・ すべての後発医薬品が、薬局や問屋にそろっているわけではありませんが、薬剤師は最善の努力をいたします。まずは薬剤師にご相談下さい。 ・ 後発医薬品を選んだら、クスリの名前を「おくすり手帳」に記載してもらいましょう。次回診察時、来局時に使用中であるクスリの確認ができます。 ・ 患者さんが後発医薬品を選んだ場合は、必ず医師に連絡がいきますが、患者さんご自身も「おくすり手帳」などで医師に確認してもらうことを忘れてはいけません。「おくすり手帳」は患者、医師、薬剤師3者の共有の情報です。そして患者さんにとっては大切な情報財産です。
|
(社)東京都薬剤師会 |