薬剤師って何する人?


薬剤師のお仕事  病気の治療や予防、健康の維持などのために、薬は私たちの生活に欠かせないものになっています。病気やけがで、病院や診療所(医院)にかかって薬をもらったり、体調がすぐれないときに町の薬局・薬店で大衆薬を購入したことがきっとあると思います。
 こうした薬が製薬企業で作られ、医療機関や薬局等を経由して消費者の手に届くまでのすべての過程で、薬学を基礎とした専門的な立場から関与しているのが薬剤師です。
 薬剤師の任務は、薬剤師法という法律で「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする」と規定されています。

 薬剤師の最も代表的な業務は調剤です。「調剤」の定義としては、大正6年3月19日の大審院(現在の最高裁判所に相当)判決で

「一定ノ処方ニ従ヒテ一種以上ノ薬品ヲ配合シ若クハ一種ノ薬品ヲ使用シテ特定ノ分量ニ従ヒ特定ノ用途ニ適合スル如ク特定人ノ特定ノ疾病ニ対スル薬剤ヲ調製スルコト」とされています。

 しかし、現在では、医師の処方せんどおりに薬を正確かつ迅速に調製するだけでは十分とはいえません。薬の有効性、安全性を確保して適正な使用を推進するために、処方された薬に関する副作用や併用している薬との相互作用などについて、患者の体質やアレルギー歴、これまでの服薬状況等をまとめた記録(薬剤服用歴の記録)と照合したり、患者との対話で疑問点があれば処方医に照会したうえで調剤することが必要となっています。調剤した薬はそのままでは単なる物ですので、そのものが薬としてが適切に服用されるためには、個々の患者に合わせた服薬指導を行わなければなりません。
薬剤管理指導  また、処方医にも必要な情報を提供することが求められるようになってきており、こうした業務を遂行するに当たって、薬に関する最新情報の収集と整理も重要な業務となっています。

 また、最近では、病院勤務薬剤師の場合、薬剤部門内での調剤業務に加えて、医師が適切な投与量を判断するために、投与している薬の成分について血液中の濃度を測定したり、医師や他の医療スタッフと供に入院患者の病床に赴き、薬剤師が直接患者に、使用している薬についての服薬指導や注射薬の管理などを行う臨床活動も活発になっています。
 町の薬局でも、薬局の調剤室内での調剤業務に加えて、寝たきり老人など在宅患者の家を訪問し服薬指導や薬剤管理指導などを行う在宅医療業務も増えています。

 薬剤師の職種と動向


薬剤師の職種  薬剤師の資格を有している人が働く職場は、薬局や医療機関での調剤業務、製薬企業での医薬品等の研究開発・製造、流通、販売、行政機関における許認可・監視指導・試験検査、教育機関など多岐にわたっています。
 平成12年12月31日現在における全国の届出薬剤師数は217,477人で、薬局の従事者が94,760人(総数の43.6%)、病院・診療所の従事者は48,150人(総数の22.1%)となっています。
 ちなみに同日現在の全国の届出医師数は、255,792人です。
 なお、厚生省ホームページに、「平成12年 医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」が掲載されています。
 (薬剤師の、施設・業務の種別にみた薬剤師数はこちらをご覧下さい。)

 薬剤師になるには


 薬剤師になるためには、薬剤師国家試験に合格しなければなりません。受験資格は薬剤師法によって4年制の大学で薬学に関する正規の課程を卒業した人に限定されていますので、まず、薬学系の課程のある大学に進学することが必要となります。
 平成12年現在、薬学系の学科を設置している大学は全国に46校あります。設立主体別にみると、国立14校、公立3校、私立29校となっています。夜間部や短期大学はありません。薬学部・薬科大学への入学志願者・入学者に占める女性の割合はそれぞれ約3分の2です。
 薬剤師国家試験は、毎年3月末に2日間の日程で実施されます。平成12年3月に実施された薬剤師国家試験の合格者は9,213人で合格率は79.91%でした。最近5年間の合格率は70%から80%の間で推移しています。試験に合格すると、申請により厚生省の薬剤師名簿に登録され、厚生大臣から薬剤師免許が与えられます。

 薬学教育協議会が薬学系大学卒業者の進路について調べた結果によると、平成11年3月の卒業生8,421人中、就職63.9%、非就職36.1%なっています。 薬剤師になるには  なお、非就職者の内約65.8%は大学院への進学者で占められています。就職した人の就業先をみると、薬局29%、病院・診療所22.4%、製薬企業13.9%などとなっています。ここ数年は病院・診療所及び製薬企業への就職が減少し、薬局への就業が大幅に伸びています。
 薬剤師免許を持ちながら薬剤師業務から遠ざかっている人は女性に多くみられますが、このような人たちが再就職するに当たっては、拡大、多様化している薬剤師業務の内容を把握し、不足している知識や技能を改めて身に付ける必要があります。このため、(財)日本薬剤師研修センターでは厚生省や(社)日本薬剤師会などと協力して、薬剤師の資質向上のための生涯研修や未就業薬剤師の研修を企画、実施しています。また、都道府県薬剤師会や地域の支部薬剤師会においても研修会が開催されています。

 薬剤師の歩みと展望


 「薬剤師」の名称が法令上明文化されたのは、西欧の医学・薬学制度の導入が図られた明治時代のことですが、その際に目的とされた、医師は診療に専念し、投薬については処方せんを発行し、その処方せんに基づく調剤は薬剤師が担当するという医薬分業制度はなかなか普及しませんでした。このため、薬剤師の主たる業務である調剤は、病院勤務薬剤師が担当する他は、町の薬局では少数の薬局で僅かに実績がある程度で、このような時代が昭和40年代まで長く続きました。
 昭和36年に、医療保険が全国的に普及して国民皆保険が実現し、高度成長と相まって医療保険制度と医療提供体制が拡充されることとなりましたが、これに伴い病院診療所勤務の薬剤師は一貫して増え続け、昭和35年の9,575人から、平成14年の48,150人へと 5倍に増加しています。昭和49年に医師の処方せん発行について医療保険上の評価が大幅にアップし、医薬分業が著明に進展しはじめました。さらに、ここ数年来の院外処方せん発行の急増を受けて薬局従事薬剤師も大幅な増加傾向を示しており、平成14年は94, 760人となっています。
薬剤師の主たる業務である調剤  ちなみに、平成14年度における院外処方せんの発行枚数は5億8,400万枚を超えています。これは、薬が投与される外来患者のうち約2人に1人は、院外処方せんにより町の薬局で調剤してもらっていることになります。(平成14年度処方せん受取状況の推計より)

 病院勤務薬剤師の業務は入院患者に重点を移し、外来患者の薬は院外処方せんの発行に切り替えられる傾向が今後も続くと見込まれることや、本格的な高齢社会の到来を迎えて、地域社会の中での薬局薬剤師の業務として、処方せん調剤を通じた医療の分野だけではなく、保健、福祉、介護の分野までをも担当することが期待されていることから、薬局に従事する薬剤師の需要は更に増大しています。
 薬学教育では、最近まで医薬品の研究・開発や分析等創薬に関する講義が主として行われ、医療に関する教育が充分とはいい難く、もっと充実すべきと指摘されてきました。 保健、福祉、介護の分野までをも担当  しかし、患者志向の薬剤師業務が拡充する中で、薬学教育でも、医療薬学に対する取り組みや卒業前の実務実習の充実強化が行われつつあります。
 また、社会的な問題となっているHIV薬害事故等を契機として、厚生省は薬の安全性確保対策を整備、強化することとなり、薬事法・薬剤師法の改正が平成8年6月に行われました。この改正により平成9年4月からは、薬剤師は調剤した薬剤について適正な使用のために必要な情報を患者に提供しなければならないことが義務づけられることになりました。

 今後とも、高齢化社会の到来の中で薬の適正使用への貢献を中心とした役割が薬剤師に求められています

 薬剤師関係問い合わせ先


  • 薬剤師国家試験については、
      厚生労働省医薬食品局総務課

  • 薬剤師についての全般的なことは、
      社団法人 日本薬剤師会
    保健、福祉、介護の分野までをも担当

  • 病院診療所勤務薬剤師については、
      社団法人 日本病院薬剤師会
        東京都渋谷区渋谷2-12-15 長井記念館8階
        〒150-0002 電話 03-3406-0485
        http://www.jshp.or.jp/

  • 薬剤師の研修に関することは、
      財団法人 日本薬剤師研修センター
        東京都港区虎ノ門1-2-20 虎ノ門19森ビル3F
        〒105-0001 電話 03-5251-9953
        http://www.jpec.or.jp/
社団法人日本薬剤師会ホームページより


北区管理センターのホームページに戻ります。  薬剤師って何する人?のページに戻ります。東京都北区管理センター
Tel 03-3914-5171